残り物には福がある?

「だいじょーぶ、こういうときってね、まず、洗ってね」
 ナオ君を水のみ場に連れて、膝を洗ってあげる。
「こうやって、するの。そしたら、治るよ」
 きゅっと、持っていたハンカチを巻いてあげる。
 そういえば、巻いた後でお気に入りのハンカチだったのを思い出したんだっけ。
「ハンカチ……」
「また来たときでいいよー」
「……ありがと、るりちゃん」
 私とナオ君はにこーって笑って、手を繋いで一緒に帰っていった。
 けれど……その日を境に、ナオ君は公園に来なくなって。
 お気に入りのハンカチも戻ることはなかった……。