「ささ、ぐぐーっと飲んで飲んで」
　彼のグラスにたっぷりとビールを注ぐ。
「きょ、恐縮です……」
　彼は受け取り、そのままぐいっと一気飲みしてしまった。
　って、そんなに一気飲みして大丈夫？
　そう、言おうとしたときでした。
「………」
　私の方をじっと見つめて、そして、眼鏡を外しました。
「おかしいな、どうして、君がそこにいるのかな？」
「えっと、合コンで来ました」
　眼鏡を外して、髪をくしゃりと掻き揚げたら……えっと、なんですか、コレ？
　さっきまでの純朴さが消えてます。
　あれ？　何だか、奇妙なオーラというか、えっと、あれ？
　どうして、目の前にイケメン（ワイルド系）がいるんですか？
「合コン？　君のような子が来る場所じゃないと思うんだけど」
「えっと……先日、彼氏に振られまして」
「何だって？」
　はいっ！！　い、今、この場が、えっと彼の周りにだけ、絶対零度まで下がりましたよ！！
　えっと、こういうときは……そう、これだ！！
「で、でも、もう忘れましたから」
　にこっ！！　明日香が言ってたことを利用させてもらっちゃうよ！　っていうか、殺されかねない雰囲気なんだもの！！
「そうか、ならいい。いや、俺が忘れさせてやるよ、そんな男よりもずっと」
　ずいっと、私を抱き寄せて、こう囁きます！
「俺が愛してやるよ。お前が俺を欲しがるくらいに」