「じゃあ、カズ君と付き合うのは、もう少し後にしよ……」
「いいから、付き合いなさい!!」
 明日香といい感じになっているのは、隣の課に所属している大宮一樹君。
 実は一樹君の一目ぼれらしいんだけど、明日香が全然気づかなくって、数年。
 そして、先日、やっと、思いを伝えて……しかも明日香もまんざらでもなかったのよね。
 しかも明日香って、基本、男性に興味ないから、振られる人が多いのよね。
 そういえば、前に私を妬んで襲ってきた男がいたっけ。
 そのときも、明日香が駆けつけて、やっつけてくれたんだよね。
 ……やっぱり、いいやつだ。うん。
「だから、明日香はカズ君と付き合う! 私は……まあ、頑張るから……うん」
 じとーっと見られちゃってるけど仕方ないよね。
「ねえ、瑠璃。あなた、自分のこと、卑下してない?」
「はい? じゃあ、聞くけど、私のどこがいいの?」
「可愛い」
 ぶふっ!!
 思わず食べてたポテトを吐き出してしまった。あーあ、最後だったのに。
「それに他人に頼まれたら断れないタチでしょ? それくらい優しいってこと。前だって、あたしの愚痴、夜中の4時まで付き合ってくれたじゃない」
「そりゃ、愛する明日香に頼まれたら付き合うしかないじゃない」
 ついでにいうと、暇でした。
「それに明日香の話、結構、面白かったしね」
「そうそう、瑠璃の話、面白かったしね」
 ……あれ? 論点、違ってない?
 と、そこで食べ終えた明日香がトレイを持って立ち上がった。
「さて、そろそろ混んで来たから出ようか。ついでにあたしの家に来なさい」
「拒否権は無いんですか」
 思わず突っ込みするも、明日香はにやっと笑っただけだった。