あたし、千春は、
この春高校生になった。

中学のときから大好きな
あんた〈翔〉と高校は、別々になった。
あたしと、あんたは、
普通の友達だった。
いつも一緒に笑いあってた。

でも、高校になって、
隣の高校にいるのに、会えなかった。


毎日毎日悲しかった。
会いたくて会いたくて。
でも、会いたいなんていえない。
あたしには、言う資格なんてないから。

それは、中学3年の秋。
「好きなんよ?付き合ってくれん?」
あたしは、あんたにそう言った。
でも、、、
「うん。ごめん。
今はかんがえなれない。」

当たり前だよ。
あたしは、可愛くない。
スタイルもよくない。

それから、なんか距離を感じた。
そのまま月日は流れた。
そして、いまに至る。

あんたに会えないまま、
あたしに、彼氏ができた。
その人の名前は翔太
翔太はいっつもこんなあたしのことを
好きだといってくれた。
正直嬉しかった。

ある日のデートで、
あたしは、相変わらず翔太と街デートを
していた。
「ねー、翔太ー。あたしのこと好き?」
「当たり前ぢゃん。好きだよ?」
あたしの大好きな笑顔で
そう答えてくれる。
でも、何故か浮かんでくるのは、
あんたの顔だった。
あんたの笑顔だった。あたしにとって、翔の
あんたの笑顔は太陽だった。
ううん、今もそう。
会わないと好きじゃなくなるって
みんないうんだけど、あたしは、
会えないほど好きが増して翔太が、いるのに。
翔太が側にいてくれるのに。
最低なのはわかってる。
早く忘れたい。
なのに、なんであたしの心は、
言うことを聞かないんだろう。

家に帰ると今まで家にいなかった
父親がいた。
あたしは、父親がこの世で一番嫌いだった。
金を稼いで来ないくせに
家では君主きどり。
金がなくなりゃ、借金してくる。
早く離婚すればいいのに。
あたしの、家庭はあたしの
存在なんかなかった。
だから、あたしも、親のことは大嫌い
だった。
だからって、学校に行っても
本当に心許せる友達なんか
いなかった。
うわべで、笑いあってりゃ、
仲良しきどりの集まりだった。
だからあんたや、中学の時にいつまでも、
すがっているのかも知れない。

誰もあたしを、必要となんて
してない。
好きだといってくれた翔太でさえも。

周りが楽しそうに見えて。
いつも、心にはどす黒いことしかなかった。


学校にいった。
いつものメンツが集まって
また今日もうわべで、笑いあった。
部活でも同じ。
あたしのほんとの信じてた友達はあたしを裏切った。
そのことを知るのはまだ先の
はなし。


ある日一通のメールが
きた。
開いてみると、、
あんたからのメールだった。
久々ににやけた。
メールがくるだけで、こんなに嬉しいなんて。
あたしの幸せはそんな小さいものかと
われながら思う。
メールの内容は、
「元気?」
それだけだった。
でも、嬉しかった。
そしてあたしは、翔太と別れることを
決意した。