育「お前が考えてるほど族の世界は甘くねぇ。
まぁ極道よりはまだ甘いが…それでも一応裏と表の狭間にあるようなもんだ。


…もちろん腐ってる連中は山ほどいる。
花森組跡取としてお前に稽古はつけてきた。
喧嘩もできるかもしれねぇ。

でもな、実際はパイプとかナイフとか使ってくる奴らばかりだ。
それにお前が行こうとしている所は全国でもトップクラスの族……敵は多い。」





父さんは一度間をあけた。






育「お前にとって一番の弱点は心愛だ。
あいつも護身術くらいは出来る…でも女だ。

多くの男に囲まれたら終いだ。
殴られ、犯され、ボロボロにされるだろう。



……お前は覚悟があるのか?」




簡単な事じゃないことはわかっている。
"守る"なんていくらでも口では言える…。

でも……




「妹1人守れねぇで何が若頭だ、時期組長だ。

……覚悟、あるに決まってるだろう。」





俺は父さんの後を継ぐ者……そうなれば1人じゃない、組員全員を守る立場になるんだ。
実の妹1人守れないじゃ話にもならねぇ…。



心愛には悪いが俺は父さんみたいになりたい。




育「…それならいい。
だが先に言っておく。


俺はお前が窮地に追い込まれていたとしても助けたりはしねぇ。
信じられる仲間と共にやっていけ。」



「…あぁ。」




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