「お久しぶりです。」
客「本当に久しぶりだな。
噂で今日だけいるって聞いて慌ててきたんだけど…本当にいたんだね。」
「オーナーに無理言って今日だけ特別に、です。
働いていた頃に良くしてくださった皆さんに会いたかったので…。」
客「こっちこそ会いたかったから嬉しいよ。
それじゃぁ…とりあえずシャンパンからにしようか。
あと、フルーツの盛り合わせ。」
「ありがとうございます。」
開店してから噂がまわり、私指名のお客様が次々と来た。
そりゃもう現役の時と比べ物にならないくらいのスピードで席をチェンジ。
"結婚したんじゃないの?"とか色々聞かれるけど軽く流す。
そんなことを繰り返していると一気に店の空気が重く、冷たいものになった。
賑やかな雰囲気も静かになった。
ある人の声が聞こえ、なぜ静かになったかがわかった。
育「若葉…なにしてんだ?」
「…別に、ただお話してるだけだけど?
問題あるの?」
育「もう辞める約束だっただろ?」
「育斗だけ好き勝手やって私にはおとなしく家にいとけっていうわけ?」
育「はぁ?
好き勝手ってなんだよ。
俺がいつそんなことした?」
しらばっくれる育斗にイライラが募っていく。
夕方に堂々とあんなことしといて…
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