噴水の前にはもう、夏生がいた。

「ごめん!遅くなって」

「………」

「夏生?」

「あ、いや、大丈夫。じゃあ、行こう」

「どこに行くの?」

「秘密かな」

今日は夏生が全て任せて欲しいと言った。

だから、私はどこに行くのか分からない。

「七瀬今日、雰囲気違うな」

「私服だからでしょ?」

「可愛いから、ちょっと戸惑う」

「…っ///」

ふふっ、て笑うから、

からかわれたのかと思ったけど

嬉しかった。

それから、電車を乗り換えたりして、

ある場所に着いた。

そこは、数え切れないくらいの

お花畑が広がっていた。

「綺麗…ー。凄いねここ!」

とても、この世の物とは思えないくらいに

満開の花。

心までワクワクしてる。

「だろ?七瀬が好きそうだったから」

「うん、大好き!」

こんないつも迷惑かけてばっかりの

私のために

こんな素敵な場所探してくれる

その優しさがまた私を幸せにさせた。

それから、

一緒にプリクラを撮ったり

ご飯を食べたり、

普通のカップルがする事を

カップルじゃない私達が

している事にニヤケた。




「夏生、今日はありがとう」

夏生と過ごす一日は、

ありえないくらいに短く感じた。

「おう。そんで、これやるよ」

そう言って渡された

小さな小袋。

「開けていい?」

「いや、今は恥ずかしい」

「じゃあ、帰ってから開けるね」

「おう♪」

夏生は、真逆の私の家まで

送ってくれた。

「ありがとう。バイバイ」

「おう。また明日」

後ろ姿が見えなくなるまで

私は家の中に入らなかった。

そしてやっと、

小袋を開けた。

「可愛い…ー」

それは、大きな花形のネックレスだった。

嬉しくて、

男の子から貰うプレゼントは初めてで

一生大事にしようと思った。