あの日から、

私達はどこかギクシャクしてしまって

話す事もなくなっていた。

「七瀬、話しに行きなよ」

「行けないよ。あんな言い方しちゃったし」

廊下を歩くたびに

夏生を探すけど目も合わない。

いつもなら、

ニコッと私の好きな笑顔で笑ってくれるのに

その大きな手を振ってくれるのに、

それすらしてくれないなんて。

私が全て悪いの?

だって、夏生がすきなんだよ?

なのに、あんな事言われたらさ

普通怒ったりもしちゃうよ。

「彩矢、私夏生が好きなの」

「うん、知ってたよ。なかなか言わないんだから」

「え?」

「そんなの、見てたら分かるでしょ」

やっぱり、

誰から見ても私は夏生が好きなんだ。

「七瀬、ゆっくりでいいから、頑張ろう」

「…うん」

彩矢は、急げとは言わないね。

私のペースに合わせてくれるね。

ありがとう。

「夏生ー!先輩が呼んでるぞ!」

そう誰かが言った。

「おう」

目の前を通った、夏生と目が合った。

でもすぐに逸らされた。

それさえ悲しいなんて…ー。

「あれは、告白だろ」

「美人だし、絶対OKだろうな」

そんな声か飛び交った。

不安、不安、

不安で押しつぶされそう。

でも、 

夏生はすぐに帰ってきた。

「どうだったんだよー、ノロケんじゃねーよ!」

「いや、俺付き合ってないから」

嘘でしょ?

本当に付き合ってないの?

どうしよう、先輩には悪いけど

嬉しくて仕方ないよ。

「良かったね」

「うん」

もう私も、そろそろ答え出さないと。