『ああ、そうそう。レイくんに一つお知らせ』
「うん?」
『中庭の池のそばに誰かいたよ。レイくんの部屋の方見てたから、多分用事があるんじゃないかな』
「……誰か」
『そ、男の子だったよ、僕たちと同い年くらいの』
なんとなく心当たりのあった礼太は、恐る恐る障子を開いた。
明るい髪色の少年が物音一つ立てず中庭の池を覗き込んでいた。
「………先輩」
はじめから気づいていたのだろう。
乙間はさして驚いた様子も見せず礼太を振り返った。
「……よかった。思ったより平気そうじゃん」
そう言ってニッと笑った乙間の腕には痛々しくも包帯が巻いてあった。
礼太の視線の先に気づいたのだろう。
サッと包帯を巻かれた方の腕を隠した乙間は肩をすくめて見せた。
「いっとくけど、大したことないから。これは大げさな奴が大げさに巻いたんだよ……それよりか」
らしくない、複雑な表情で、乙間は縁側に佇む礼太を見上げた。
「……全然、驚いてないんだな。俺がここにいることに」
「だって……」
躊躇いが生まれたのは、申し訳なさからだった。
騙していたつもりはないが、言わなかったのは事実だ。
「先輩がうちの分家筋の人だってことはなんとなく、分かってましたから」
三本柱の一つ、乙間家。
確信しているわけではなかったが、そんな予感はしていた。
「うん?」
『中庭の池のそばに誰かいたよ。レイくんの部屋の方見てたから、多分用事があるんじゃないかな』
「……誰か」
『そ、男の子だったよ、僕たちと同い年くらいの』
なんとなく心当たりのあった礼太は、恐る恐る障子を開いた。
明るい髪色の少年が物音一つ立てず中庭の池を覗き込んでいた。
「………先輩」
はじめから気づいていたのだろう。
乙間はさして驚いた様子も見せず礼太を振り返った。
「……よかった。思ったより平気そうじゃん」
そう言ってニッと笑った乙間の腕には痛々しくも包帯が巻いてあった。
礼太の視線の先に気づいたのだろう。
サッと包帯を巻かれた方の腕を隠した乙間は肩をすくめて見せた。
「いっとくけど、大したことないから。これは大げさな奴が大げさに巻いたんだよ……それよりか」
らしくない、複雑な表情で、乙間は縁側に佇む礼太を見上げた。
「……全然、驚いてないんだな。俺がここにいることに」
「だって……」
躊躇いが生まれたのは、申し訳なさからだった。
騙していたつもりはないが、言わなかったのは事実だ。
「先輩がうちの分家筋の人だってことはなんとなく、分かってましたから」
三本柱の一つ、乙間家。
確信しているわけではなかったが、そんな予感はしていた。


