「ちょっと、来てくれない?」 「ど、こに?」 「いいから。来て」 ふわり、と彼の匂いが鼻孔をくすぐったと思えば。 触れたことのないその手が私の手をつかんで、引っ張るように歩きだした。 「どこ行くの?!」 「手、冷たい」 「え、あ……うん」 「ごめん。待たしたからだろ?」 ちょっと待って、と足を止めた彼は躊躇いなくツヤツヤとした生地のジャケットを脱いだ。 カッターシャツになった青山は、見るからに寒そう。 「はい。じゃ、行こ」 それを私の肩にのせ、また手を握って歩きだす。