キズだらけのぼくらは



腰をきつく抱きよせられて、体は密着。

男の人らしく胸板は少し厚くて、大胆に開かれた胸元の素肌に私はドキリとしてしまう。

だから目のやり場に困って、視線をあちこちに移すけど、心臓は早鐘のように打ってどうしようもない。

くっついた体から伝わる彼の体温がなんだか温かくて、心臓の動きを更に加速させる。

なんで私はドキドキしているの、本郷大翔に……。

切れ長の不機嫌そうな眼差しが、至近距離で私をとらえている。

わからないけれど、その強く、どこか闇が潜んでいそうな瞳には吸い込まれそうになるの。

私は頭の中まで心臓の音が響いているのを感じながら、ただその瞳を見ていた。

「いつまでぼーっとしてんだよ。邪魔」

でも、鼓膜に響いたのは怖いくらいに低い声。

その声に、私の意識はすぐに引き戻される。

けれどその時には、私は彼に半ば突き飛ばされていた。

まるで、ホコリでもはらうようにあっさりと。