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キズやしみで汚れた廊下の床。

少し黄ばんだ白い壁。

私は、右手に軽くなったランチバッグを提げながら、廊下を歩いていた。

「え~マジ~。すごいじゃん」

「そう~、マジヤバいよね~」

時折聞こえてくるケラケラとした笑い声とだるい言葉のやりとり。

まるで、無理と話を合わせているみたい。

私はすました顔して通り過ぎながらも、思わずふきだしそうになった。

ああやって自分を繕って、場の雰囲気を壊さないように頭を働かせて会話しなきゃならないんだから、さぞや疲れることでしょう。

それに彼女たちの言葉には、演技とはいえ、なんのヤバさも感じられないから笑っちゃう。

でも、笑えるはずなのに、急に私の足は重くなった……。

ねえ、今見ているのが本当の現実でしょ?

相変わらずウソだらけで、おままごとみたいな日常。

これこそが現実だよね?