私は歯を食いしばりながら、タイピング音を大きく響かせた。
まるで銃撃の雨のように強く強く。
想いを文字にたたきつけるように。
【ももたんは、私は、一軍女子なんかじゃない! 本当は地味で根暗で、怪我のせいで足引きずって歩いてる三軍以下の女だよ。現実じゃ、面白いくらい見向きもされやしないよ】
私はまだ連投する。
もう、心の闇が雪崩れでるように止まらない。
【私は、ふんぞり返る一軍も媚びる二軍も大嫌い。だからネットでみんなを騙してる。騙されてる一軍女子見ると、スカッとすんの。いっつもいっつも私をないものとして扱ってきたのはあっちなんだから、このくらいのことしても悪くないでしょ】
下唇に強く歯をたてる。
そうだ私は悪くない。
悪いのはアイツらの方だ。
【そう、私はそんなヤツ。最低なヤツだと思った? これでもさっきと同じ言葉を吐ける!?】
最後のエンターキーをたたきつけた右手が、勢いよく宙に舞う……。
最後の銃弾をぶちこんだみたいに、私はすごく爽快な気分だった。


