キズだらけのぼくらは



現に、私は正体をバラされるんじゃないかって慌てふためいて、バカみたいに必死になってこのサイトにたどり着いた。

でも、アキムからしたら、私は虫けらみたいなもの……。

私はアキムの足下でせわしなく動くアリ。

どんなに逃げようとも、アリなんて難なく踏みつぶされて終わり。

そう、私がしていることは無力な足掻きにしかすぎないんだ。

アキムの挨拶文に目を向けると、高笑いが聞こえそうで気持ちが悪い。

けれど、また黒い画面に映りこんでいるあわれな顔をした自分の方がもっと気持ち悪かった。

それにしても、イタズラにしてはよく作りこまれたサイトだと思う。

入口の仕掛け、月の絵、サイト名。いい加減に考えたようには思えない。

よく見れば、左側に表示されたアイコンの中にチャットルームというものがあった。

私は興味本位で入室してみることにした。