キズだらけのぼくらは



最初よりも、海夏ちゃんの声が震えている。

私は、ゆっくりと何度も首を横に振った。

「だったら……、だったら……、月がいなくなった夜のトップページに、なんであんなメッセージを書いたの?」

「……そんなもの、書いてなんかない! なに言ってるの!?」

海夏ちゃんの怒鳴り声で窓ガラスが震える。

でも、必要以上にムキになった声はただ苦しげなだけだった。

そんな風に強がる声が、私には痛い。

「書いてたよ。マークして浮かび上がるの、月の絵だけじゃなかった。あのページのずっと下の方……」

知ってるんだ、海夏ちゃんの本当の想い。

あんなまっ黒なサイトに込めた、優しい優しい気持ち。

私は、冷えて澄み切った空気をすうっと大きく吸い込んだ。

「“みんなが笑顔になれますように”」

大切に紡いだ言葉が、夜空の下に広がっていく。