こんな空、絶対に今までの私ひとりじゃ見られなかった。
私は泣き声が漏れそうな唇をきゅっと結び、首を目いっぱいに倒して、空を見る。
ほら、こんなに綺麗だよ……。
綺麗さに泣きそうになりながら、私は笑う。
宝石よりもずっとずっと美しい煌めきが、幾千も幾億も、視界いっぱいに散らばって光を放っている。
光の粒が、雨のように地上に降ってきそう。
お金じゃ決して買えないような、どんな力があっても得られないような、誰のものでもない夜空が、穏やかに微笑みかけている。
どれひとつ同じ星はなくて、どれかひとつだけが目立っているわけでもない。
ちゃんとみんな違う光を放っているのに、広い広い空で輝き合う星たちは、こんなにも仲良く輝きあってるんだ。
私たち人も、こんな風に輝けたらいいなって心から思う。
「……私には恨みしかないもん……。幸せに生きてる人間なんか嫌いって言ったでしょ」
でも、部屋の中からはまた、沈みきった声が聞こえてくる。


