私は大声を張り上げていた。
まっ暗な空の下に思いきり広がっていく。
叫んだ私の息は切れて、今にもしゃくりあげて泣きそうだ。
恨みたいのはわかる。
だけど、恨んだって時間は巻き戻らないんだ。
恨んだって、自分の本当の願いは、叶わないんだ。
「私もそう思ってた。でもきっと違う。海夏ちゃんの言ってることは、本当の気持ちの裏返しだよ……」
夜風が、丈の長い雑草をサラサラと優しく撫でていく。
星々は控え目だけど、私たちをちゃんと見守ってくれている。
私の脳裏には次々とよぎった。
はにかんだように笑って「桃香」って呼んでくれる結愛と、あの日私たちの手を引いて屋上まで逃げてくれた熱い新太と……。
いつも無愛想なくせに、いつの間にか私を救い出してくれた本郷大翔が……。
今、私の心の中で、みんなの笑顔が星みたいにキラキラ輝いてるの。
「人間ってバカなんだ……。たとえキズついても、また同じものを欲しがるの。またキズつくかもしれないのに、それでも欲しがるの」


