だけど、それでも私は問いかける。
この間までの自分に話しかけるように、海夏ちゃんの心に自分をダブらせる。
「そこに閉じこもっていることが、願いじゃないよね。周りのみんなが下を向いてることじゃないよね」
私は、一向に動かないカーテンを、祈るような気持ちで見続けている。
でも、突然耳をつんざくような声がとどろいた。
「うるさいうるさいうるさい! 私は普通じゃなくなっちゃったの! 幸せに生きている人間なんて消えちゃえばいいんだ!」
窓の向こうで捲し立てる声は、幼さを丸出しにして泣いている。
窓越しに、恨みも悔しさも、だだ漏れになって痛いほどに伝わってくる。
窓に触れている私の手は、痛々しい声に震えた。
「もうやめてくれ。これ以上キズつけないでくれ!」
座り込む私の手を、大翔が無理矢理に掴む。
だけど、私はその手を勢いよくはたき落とした。
パンッ……!
乾いた音が、あたりに鳴り響く。
「恨んでも、どうにもならないの!」


