キズだらけのぼくらは



「そう思ったら、ひとりでいる方がずっと楽だった。私とは正反対の女の子たちを騙したら、面白おかしくてしょうがなかった」

私はバカみたいな自分を頭に思い浮かべて心の中で笑う。

今だから笑えるの。

ついこの間までは、それが正解だと思っていた自分がいるんだ。

「だけどね、そうしてたら“月がいなくなった夜”のサイトに引っ張り込まれてたの。大翔はね、あのサイトを引き継いでて、私を巻き込んだんだよ。本当に、いい迷惑だった」

“迷惑だった”その言葉が、喉で震える。

さっき投げ捨てた雑草が、あわれに地面に横たえて私を責めているような気さえした。

私は本当に、素直じゃなかったんだ。

ううん、自分の本当の気持ちをしまいこんで、キズつかないようにするために必死だった。

そのためなら、他の人をキズつけることもなんとも思わなかったの。

だけど、もうそうは思わないよ。

「でも、初めて、まっ黒で汚い心の内側を曝せたの。ひとりが好きになったはずなのに、仲間ができてたんだ」