キズだらけのぼくらは



結愛は勇気をくれた。

新太は、私の声が届かない本郷大翔を引っ張りだしてきてくれた。

仲間が、協力してくれた。

ひとりじゃない私は今、本当にできそうな気がするよ。

私は家の方へとまっすぐに歩きだす。

「もう来んなって言ったよな」

なんて言われてもかまわない。

「さっさと帰れ」

どんなに低い声で脅されたって、私は引き返さない。

「おい、聞いてんのかお前!」

私はかたいコンクリートの地面を強く蹴りつけながら、アイツの声なんか無視して進む。

ただただ進む。

「俺は知らないからな。とっとと帰れ」

彼がドアノブに手をかけて中に入ろうとしている。

でも、私はそんなこと無視して、右側の明かりさえ漏れていない窓めがけて駆け寄った。

「海夏ちゃん! 海夏ちゃん! ここにいるんだよね? 海夏ちゃん!」