キズだらけのぼくらは



通り過ぎる車の音にも負けずに、結愛の鈴みたいな声がよく響いた。

結愛は真上を向いて空を見つめ、星々が浮かぶ空に大きな瞳を輝かせてこう言うんだ。

「桃香は、強がっていても優しいんだよ。キズついてきた分、人の痛みを知ってるから。私は、そんな桃香が好きだよ。だから、想いは、きっと伝わるよ」

私は、そんな結愛に見とれていた。

どこからそんな自信のある言葉がわくんだろうって思って、小さく笑う。

私なんて、ひねくれていて、愛想が悪くて、いいところなんてないのに、結愛は……。

すると結愛は私の方を向いて、まっすぐに私の目を見る。

「桃香にしかできないことなんだよ。ここから先は任せたよ。ふたりを、助けてきて」

そうして、ぽんと押し出される私の背中。

振り返れば、こんな暗がりでもわかるくらいの明るい笑顔を見せてくれていた。

仲間の笑顔があたたかい。

心の奥に優しい灯がともったみたいに勇気が出てくる。

私はもう一度手の平を握り直して、前を向いた。

目の前はもう、あの殺風景な一軒の家。

本郷大翔の家だ……。