部屋がしんとする。
私は呆然として彼を見つめたままでいる。
ウソみたいな言葉が耳元でまだ響いている。
その時、右手がひりひりと痛み、私は体をよじって呻いた。
手の平のキズに消毒液が容赦なくかけられている。
消毒液が染みて痛い。
「そんな簡単な問題じゃない。首を突っ込むな」
乱暴にキズの手当てをしながら、切れ長の目の端で鋭く私を睨む彼。
私の手を持つ力も強くなっている。
「でも……」
それでも私は必死に彼の目を見つめて食い下がった。
だけど、彼は雑にきつく包帯を巻きながら、低い声で言い放つ。
「仲間ができたなら、俺のとこへは二度と来るな。お前を巻き込むのも、もうおしまいだ」
“おしまい”という言葉と同時に、切り離された包帯が床に落ちた。


