「そこの椅子座ってろ。すぐ準備する」
彼は床に救急箱を置いて、消毒液やら包帯やらを出し始めていた。
私はきょろきょろとまたあたりを見て、机の前にあるイスのところまで行くと、そっと腰を下ろした。
だけど、あるものが目に飛び込んでくる。
私が左の手を軽く置いた机。その上の、ノートパソコン。
それはどっしりと重々しくそこに居座って、異様な存在感を放っていた。
食い入るをようにそれを見る。
ピンク色の塗装が激しくはがれ、ボコボコにへこんでいるゴミのようなパソコンだ。
なんだか寒気がはしって身震いした。
こんなボロボロなパソコン見たこともない。
ありったけの恨みをぶつけたみたいにキズだらけ。
私は小さく息をのむ。
彼が言っていた。
ボロボロになったパソコンを自分の部屋まで引き上げてきたって。
だとすれば、これが、海夏ちゃんのパソコン……。


