私は一度、ゆっくり瞬きをし、彼の肩を借りて一段目をのぼった。
彼がタイミングをうかがってくれて、また踏み出す一歩。
同時に、踏み出す一歩……。
一段。
また、一段。
彼の息遣い。
私の背中に控え目に触れている彼の大きな手の平。
横目にチラリと見える彼の首筋。
隣から伝わってくるあたたかい優しさ。
一段のぼるたびに、鼓動の音が大きくなる。
階段を踏みしめるリズムと重なり合うように、一定のリズムで大きく響く。
頬がほんのり熱くなっていくのがわかる。
ドキドキなんだけど、ちょっと違う。
居心地がいい。
彼が優しいからだ、きっと……。
普段、あんな風に振る舞っていても、海夏ちゃんのことを全部自分の責任にしているように、本郷大翔は優しい人なんだ。
私は、そんなヤツを好きになったんだ……。


