左足が思うようにならないから、手すりを握らないでのぼるのは不安。
私はどうしようかと悩んで口をつぐみ、一段一段上っていく彼を見つめながら焦りが募る。
そんな時、彼が私を振り返って見た。
そして、呆れたように大きくため息をつくんだ。
「のぼれないなら、のぼれないって早く言え」
ぶっきらぼうな言葉とは裏腹に、すぐ引き返してくれる彼。
「ほら、肩に手かけろ」
そう言って、一段上で私に肩を差し出してくれた。
私はそっと左手をかける。
その瞬間、左の手の平にほっとするような温もりが伝わってきた。
あたたかい、優しい……。
階段の上の窓からさす光が、彼の髪の毛の先をキラキラと輝かせる。
決して眩しくはない、穏やかな輝き。
ぶっきらぼうな彼の思いやりみたいな優しいキラキラ。


