ドアが閉まって玄関は薄暗くなる。
下駄箱の上にはなんの飾りものもなく、足元には私たちの他にひとつだけ、女性ものの運動靴があるだけだった。
私は静かに靴を脱ぎ、家にあがった。
彼は左側にある部屋へ入っていくから、私もあとをついて中の様子を窺う。
「母さん、ただいま」
「ああ、大翔ね……。おかえり」
私がリビングらしき部屋に顔だけを出してみると、ダイニングテーブルで頬杖をついているおばさんがいた。
しばっている髪が落ちて、中途半端に肩へ下がっている。
テレビもつけずにただ座っているだけ。
酷くやつれているみたい。
この人が、彼のお母さん……?
この間、彼にSOSの電話をしてきた……。
「あの、こんにちは。クラスメイトのものです。お邪魔しています」
私は小さくなって何度もお辞儀をした。


