だけど、そうしたらまん前に自転車を押した人がいたんだ。
「わっ! ぎゃあっ」
見えた時にはもう遅く、私は派手に転ぶ。
とっさに地面についた手でなんとか体を支えるけれど、手に痛みが走る。
「う~、痛っ」
私は顔をしかめて、痛い右手を見る。
すると手のひらの手首に近いところが赤々とすりむけていたのだ。
通りで痛いわけ。
この前といい今日といい、もう、なんなんだ。
痛みと理不尽さに下唇を思いきり噛み締める。
でも、遠慮がちな声が降ってきた。
「大丈夫……ですか?」
男子の低めの声。
目の前に差しだされた手は少々骨ばった繊細なもの。
私は聞きおぼえがある気がして、そっと上を向いた。
「……えっ、なんで……アンタが……」


