今度は作業台の下の扉つきの物入れを開けて、中をあさる。
天ぷら用の粉に塩、砂糖、片栗粉……。
いくつかカップラーメンが買ってあったはずなのに……ない。
私は足を投げ出して、台所に座り込んだ。
「まったく、お母さんってば。何か買っといてよ」
聞こえるはずもないけれど、ため息とともに悪態をつく。
私はあさったものを適当に押し込み、右足で扉を閉めた。
料理なんて私は大の苦手。
秋穂と口をきくぐらい、面倒なことなんだ。
私はまたよいしょと言って、重い腰をあげる。
仕方ない、コンビニにでも行ってこよう。
自分の部屋に引き返し、トレーナーとジーンズに着替え、フードつきのロングカーディガンを羽織る。
チラリと鏡を見て、フードをかぶろうと手をかける。
でも、ハッとして手を離した。
癖になっていたけれど、もういっか……。