しばらく沈黙する私たち。
私はアイツが閉めた白い戸を、ぼんやりと見つめていた。
“事故”
それだけでアイツはあんなにとりみだすんだ。
事故って聞いただけで、あんなにも辛そうな顔をする。
私も胸の奥が苦しくなっていく。
あんな顔は見たくないと、あんな顔はさせたくないと思っていたのに、私がさせてどうすんの?
私は、目から涙がにじみ出して、両手で顔を覆った。
一体どうしたら、アイツは前を向いて生きてくれるの……?
「ねえ、みんなで、アイツのことどうにかできないかなぁ……? 私、あんなアイツ見てるの、辛い……」
覆った手のひらの中に、やっと思いで絞り出した声がこもる。
涙でぬれる。
でも、どうにかしたいよ……。
私が思っているより、アイツの心の闇が濃くても、どうにかしたいの……。


