キズだらけのぼくらは



どうしたらいいんだろう……?

一瞬、結愛たちの方へ視線を移したけれど、びっくりしたように言葉を失って、ただ彼のことを見つめているだけだった。

私は少し下を向いて、彼の頭を見下ろした。

そこにいるのは、怯えて震えている小さな子供のように見える。

「ねえ……、本郷大翔……。私大丈夫だよ。今までとなにも変わらないよ……」

私は、恐る恐る、彼の髪に手を伸ばす。

でも、少しのところで彼は、ゆっくりと立ち上がった。

「悪ぃ……。取り乱して。大丈夫ならいい」

彼はぶっきらぼうに言うと、誰とも決して目を合わせずに歩きだしてしまう。

来たときとは別人のように、とぼとぼと歩く姿は彼らしくなかった。

でも、誰ひとりとして、そんな背中に声はかけられなかった。

しばらく、複雑な気持ちで眺めている間に、アイツは戸を閉めて廊下に消えていく。

最後にちらりと見えた横顔が、やつれきったように見えた。