「怪我は!? 大丈夫なのか!?」
病室に飛び込んできたのは、まっ青な顔をした本郷大翔だった。
あっという間に彼がベッドサイドまでやってくる。
「おい、怪我は!? なんともないのか!? 事故にあったって聞いて、俺……俺……」
彼は急に私の肩に掴みかかって、痛いほどに力をこめてくる。
パニックしたように声を荒げている。
全速力で走ったあとみたいに、息が上がりきっている。
私はどうしたらいいかわからず、困惑しながら彼の揺れ動く瞳を見つめた。
「痛いよ……。本郷大翔、落ち着いて。怪我は本当に大したことないから。なんともないの」
「本当になんともないのか? 大丈夫なんだな……?」
肩を掴んでいる両手が、わなわなと震えながら力を抜いていく。
すると、彼も気が抜けたように、ベッドサイドにぐずぐずと崩れ込んだ。
体はどんどん下へ滑り、私の肩に手をかけたまま、私の胸でよく聞き取れない声が漏れ聞こえてきた。
その中で、この言葉だけは聞き取れた。
「よかった……、よかった……」
弱々しい声が繰り返し紡がれていた。


