気づけば、一週間、アイツを捜し続けていた。
学校の屋上、体育館の裏、図書室。
ひとりでいそうなところは、全部見て回った。
アイツはどこか気まぐれな野良猫に似ているから、いろいろなところに首を突っ込んで捜したけれど、私には見つけられなかった。
思えば私はアイツのメルアドも電話番号も知らなかった。
アイツがどんな状態でいるのかさえ、私は知ることができないんだ。
私はとぼとぼと道路脇を歩く。
大きく前へ一歩踏み出そうとした私だけれど、私はなにも変われていないじゃないか。
これじゃあ、今も昔と同じ。
指をくわえて、なにも出来ずに眺めていたあの頃とほとんど変わらない。
右側をふと見れば、住宅街に降りていく十数段の階段があった。
きつい坂を登るより、おりる方が楽だろうな。
私にはアイツを助ける力もないんだからね……。
でもその瞬間、思いきりアクセルがふかされた車の音が迫ってきた。