今は数メートル離れているふたり。
でもそのふたりはなにか見えない糸でつながれているみたいに、そっくりに頬笑みあうんだ。
白いだけでなんにもない廊下に、ふたりの煌めきが溢れていく。
私は肩にしがみつく結愛の手をそっとほどく。
結愛は不安そうな顔をしたけれど、私はほんの少し手を握り返すだけで、何歩か下がった。
だってもう、それぐらいの勇気、結愛はとっくに持っているのだから。
新太はそんな間にも再び歩き出し、教室へ入って行こうとしている。
「あっ、新太」
その瞬間、結愛は胸に手を押し当ててて、声を振り絞った。
瞼をギュッと閉じて、短い毛先を大きく揺らして。
新太はゆっくりと歩みを止めた。
そして、穏やかな目で結愛を見つめるんだ。
「板野、髪切ったんだな。今の、よく似合ってる」
新太の声がふわりと漂う。


