「委員長、腹黒いよね。マジヤバいし」

「何考えてんのかわかんなくて、怖いも~ん」

「うんうん、あんなに変わるなんて怖すぎ~」

秋穂の取り巻きたちがからかうように笑っている。

委員長はもうそこかしこで、そんな生徒たちの話のネタにされていた。

あれだけのことをしたのだから当然だけど、委員長の言うとおりやっと築いた地位なんて1日で崩れ去った。

「委員長だけじゃないでしょ。あのドロボー猫だって大したもんじゃない。みんなの前で抱きついて、かっこつけたこと言っちゃって。超笑えるし」

すると秋穂は声を大にして周りに聞かせるみたいに言った。

秋穂の周りはさらに盛り上がって、頷き合い始める。

私は悔しくて睨みつけずにはいられなかった。

あの時の結愛の勇気と強い優しさを、秋穂なんかに笑える権利があるの?

私は結愛の席をすぐに見たけど、まだきていなかった。

だから私は、歯を食いしばって秋穂の元へ歩き出した。