キズだらけのぼくらは



生徒たちの視線が今度は私に集まって、つい俯いた。

こんなの慣れっ子なのに、私は普通なふりをしていられない。

視線の先の足元が震えだす。

しかしその時、アイツが大声で叫んだんだ。

「お前に、羽咲のことが言えんのか? アイツみたいなヤツらの気持ちがわかんのか? ひねくれてるけど、本当はお前よりも心ん中で足掻いてんだよ。あのサイトは、そんなヤツらのための場所だった。それを踏みにじったお前を、俺は許さねえからな」

驚いて涙が止まる。

パッと顔をあげれば、初めて見る真剣な本郷大翔がいた。

背筋をただして、殴りかかりそうなくらいに腕をわなわなとふるわせて。

「たかがネットのことだろ。ただのクズの吹きだまりだろうが」

“たかが、ネット”

この言葉が頭で反響する。私にとっては、たかがネット、なんかじゃない……。

「緒方、それ以上言うなら殴るぞ」