「関谷……、お前はまたそんなことを」
委員長はため息交じりに言うと新太から手を離して、近くの机に寄りかかった。
「なら、証拠やらなんやら見せてもらわないと」
「証拠ならあるぞ」
ふいに、ふたり以外の声がした。
全員が、あっと声を漏らす。
でも、私は言葉もなく、彼をただ見つめていた。
入口のところにどっしりと立っている新太の脇。
突然現れて戸に寄りかかった彼は、ピアスをキラリと光らせて、委員長の方へ冷たい眼差しを向けていた。
あの雨の日以来、初めて見る本郷大翔。
胸の奥がギュッと苦しくなる。
私は思わず顔をしかめて胸に手をあてる。
でも、なんでこんなことをしているんだろう……。
そう思っていたら、ほんの一瞬だけ目があった。


