パンッと乾いた音がこだまする。
新太は優しさの欠片もない顔で、委員長と対峙していた。
肩をいからせ、眉間に深い皺を刻み、骨がごつごつとした拳をわなわなと震わさせている。
今日もワイシャツはよれていて、体の端々から怒りがにじみ出していた。
「往生際が悪いぞ。さっさとここで言え。あの時のことも、この前のこともな!」
新太が噛みつくように言い放つ。
声は喉ですりきれて、掠れきっている。
聞いているだけでも痛々しい。
そんな真剣な声が、教室内に緊張の糸を張り巡らせる。
委員長は黙りこんだ。
少しも動かなかった。いや、動けないんだ。
他の生徒も私も。
空気さえ、その緊張感に1ミリも動いていない気がした。
誰ひとり、なにひとつ、この空間では動けなかった。


