キズだらけのぼくらは



でも、新太の更に大きな叫び声が勢いよく広がる。

「とぼけるな! お前が犯人だったんだろ!」

教室内にどよめきの波が駆け抜けていく。

周り中が驚きの声をあげ、一気に迫りくる波にのまれていく。

「関谷、お前はなにを……? そんなに大きな声を出したらみんなに迷惑がかかるだろ」

委員長は心なしか声を震わせて、新太の元まで歩み出ていく。

私は少しずつ遠ざかる委員長のうしろ姿を見ながら小首を傾げた。

あの、誇らしげに輝いていた紺のブレザーが不安定に揺れている。

その足取りはスムーズではなく、いつもの委員長とはなにかが違っていた。

人を惹きつけるオーラなんてものは感じられない。

「僕に、用があるんだったら、そうだ、場所を移してゆっくり話そう、なぁ」

委員長は新太に手を伸ばし、無理矢理に外へ出そうとする。

だけど、その瞬間、委員長の手は一瞬にして撥ね退けられた。