「あの……」
「緒方! 緒方はいるか!」
私の声を遮って、教室の後方で、なにかが破壊されるような轟音が教室中に響き渡った。
弾丸でも飛んできたみたいにクラスが揺れる。
激しく音をたてるガラスと、男子の掠れた怒鳴り声。
私が、いや、全員が、その音に弾かれるようにして一斉に振り向き見た。
ひとりの男子が、衝撃とともに目へ飛び込んでくる。
時が止まったように息をすることも忘れ、入り口に立つ男子に目をみはる。
彼は普段からは想像もつかないほど、鬼のように怒りに満ち満ちた顔で、どこかを睨みつけていた。
「せ、関谷。どうしたんだよ、お前らしくないぞ。それに、ここは学校だ。もっと静かにしてくれ」
私はおどおどしながら、名指しされた委員長と教室に飛び込んできた新太を交互に見る。
けれど、委員長は新太の方に向いて、困ったように笑いながら、新太をたしなめた。


