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「な……、俺が海夏の人生をつぶしたようなもんだろ?」
雨はまだ大きな音をたて、私たちのいる東屋の周りを取り巻いていた。
そんな中、語り終えた本藤大翔が涙目で私に問いかけた。
私は溢れそうな涙をどうにかこらえながら、スカートの一部をギュッと握りしめる。
「俺がお前に近づいたのも、事故にあったあとの海夏に、お前が似てたからだ」
なのに、彼は少し上を向いて、苦しそうに笑う。
私はわけがわからなくて彼を見つめるけれど、こんな時にまで笑う彼を理解できそうにない。
「そんな似ているお前を救えば、少し自分の心が救われる気がしたんだよ。サイトも、俺が引き継いでやることで、気持ちが紛れていく気がしたんだよ」
彼の目尻から一筋の雫が耳の方へとつたっていく。
こんな日の差さない暗がりでも、その雫はまじりけなく綺麗に煌めいている。
私はそれを目にして、息苦しくなる胸をおさえつけた。
その輝きが、あまりに切なすぎるんだ。


