キズだらけのぼくらは



海夏は、リハビリを積んで車イスに乗れるようになり、退院した。

退院してからも、しばらくはリハビリに通って頑張っていた。

でも、ある日から部屋に引きこもり、小学校にも卒業式まで通うことはなく、リーダー的存在だった海夏なのに友達との関係も全て切ってしまったようだった。

俺はといえば、海夏と目を合わせることさえ辛く、口を聞くこともめっきりなくなった。

やがて、海夏はご飯も部屋で食べるようになり、顔を合わせることすらもなくなってしまった。

時がたつのは早くて、進学なんかしたくもないのに、俺は受験へ向けた最終追い込みなんかを強制的にさせられていた。そんなある日のことだった。

海夏の部屋から、暴れまわるような凄まじい物音が聞こえた。

憎しみと悔しさと怒りが混じったような恐ろしい音だった。

俺は怖々海夏の部屋の前へ行くと、壁紙はボロボロにキズつき、大きなバツ印が書かれたドアはかたく閉ざされ、母さんはその前に座り込んで嗚咽を漏らしていた。

そしてそこには、一台のノートパソコンがゴミのように放りだされていたんだ。