キズだらけのぼくらは



俺は泣き崩れるように横から、キズだらけの海夏に覆いかぶさって、雨か涙かわからないけれど泣いた。

海夏、海夏と細い声で呟きながら、背中に冷たい雨を受けて。

救急車の音が聞こえるまでは、悠久のように長く感じた。

なんでこんなに遅いんだと呪った。

全てが恨めしく見えた。

でも、本当に恨めしかったのは、他でもない自分自身だったんだ。



……事故から数日後。海夏の誕生日の日だった。

俺は海夏の病室の前で立ち止まり、入ることを躊躇していた。

俺はよかったのか悪かったのか、打撲程度の軽いけがしかしていなかった。

けれど、海夏はそうはいかなかった。

事故にあった日、海夏の手術が終わったあと、医者から話を聞いた母さんは泣き崩れ、声を詰まらせた父さんは静かにこう言った。

『下半身不随で、もう二度と歩けない』と……。

言葉を聞いただけなのに、頭をがんと、なにかで殴られたような感覚になった。