キズだらけのぼくらは



いつも俺が掴んでいたポニーテールが、風に舞うスカートの裾が、スローモーションのようにふわふわと漂っていた。

まるで、どこかに飛んでいってしまう蝶々みたいに揺れて、舞って……。

だけど、海夏はいつものように、ちょっぴり眉間にしわを寄せて怒った顔をしつつも、笑みを含んだような表情をしていた。

『海夏、危ないっ!』

喉が割れそうな大声を絞り出した。

それは悲鳴にも似ていて、そこら中に轟いた。

海夏のいる横断歩道の右側から走ってくるトラック。

俺は、肩が引き千切れそうになるくらい、海夏に手を伸ばした。

スーパーの袋もどこかへ落っこちて、足は全速力で前へと動いて。

でも、大きすぎる鉄の塊はもう海夏に迫っていた。

海夏が大きな目を見開いてかたまった。

俺の方を見て泣き出しそうな顔をした。

俺は心の中で海夏と何度も叫び、やっとのことで、小さい海夏の手をがっしりと掴んだ。

けれど、もう遅かったんだ……。