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8月の暑い日だった。
セミは鬱陶しいくらいに鳴き、窓の外の空には入道雲がもくもくと立ち上がっていた。
俺はまだ中学2年で、夏休み中のことだった。
『母さん、俺、ちょっとコンビニ行ってくる』
俺は玄関に向かいながら、キッチンにいる母さんに向かってそう告げた。
『だったら、ついでにスーパーで卵買ってきてちょうだい。きらしちゃったのよ』
母さんはエプロンで手を拭きながら、キッチンから慌てて出てきてそう言った。
『まったく。すぐそうやって人を……』
『ヒロ兄! 出掛けるなら私も行く!』
そう思ったそばから、厄介者がもうひとり増えた。
どちらかといえば、本当に厄介なのはこっちなのである。
廊下の上を滑るように駆けてきて、急ブレーキをかけるように止まると、ビシィッと人差し指で俺を指すのだ。
『海夏は家にいろよ。だったら友達んちにでも行けって』
俺はため息をついて、目の前にいる女の子を見た。


