「俺が殺したようなもんなんだよ」
「えっ」
殺した……?
思いもしな言葉に、声がかすれる。
けれど、彼は表情ひとつ変えず、淡々と言うのだ。
ベンチから下がる足には力も入らず、雨の風が吹き抜けて寒気がはしる。
「ウミカ。俺の妹の、本郷海夏は、俺のせいでめちゃくちゃになった」
雨が、強く屋根を叩く。
でも、彼の言った言葉たちは、それよりも強く私の耳のこびりついた。
なんの抑揚もない、感情が殺されたような声はいつまでも私の頭の中になり響いている。
そのくせ、彼の黒い瞳は不安定に揺れて、助けを求めるみたいに私を横目で見るのに。
ますますコイツがわからない。
私は同じベンチの座ったままでいることがやっとだった。
だけど彼は、そんな顔をしたまま静かに語りだしたの。
その、2年前のあの日というのを……。


