「どうした……の……?」
戸惑いながら彼の顔をのぞきこむ。
けれど私は、ハッと息をのんで身を引いてしまった。
彼の瞳が、苦しげに潤んでいたから。
なんだか、痛々しい。
古くなって黒ずみ、キズだらけになったこの木のテーブル。
辺りが白く見えるほど降りしきる雨の騒音。
そして、皺くちゃなシャツの大きな背中を丸めるコイツも……。
太陽も見えないこんな天気の屋根の下、私たちがいる空間は暗かった。
テーブルにも、ベンチにも、地面にも、色濃い影が差し、彼の心の闇を映しだしているようにさえ見える。
その影は重く濃く、私は怖くなる。
でも、彼は唐突に話しだした。
「2年前のあの日も、こんな風に雨が突然降りだしたんだ。泣きだすみたいに急にな」
彼はやっと顔をあげ、車が水しぶきをたてながら走り去っていくのをぼんやりと見ていた。


