キズだらけのぼくらは



私は逃げるように教室を出ていった。

動きの悪い左脚を一生懸命に動かして、なるべく早く教室から遠ざかる。

廊下には誰もおらず、夏の日差しが満ちて蒸し暑かった。

私は右側に曲がり、2階にある職員室を目指して階段をのぼる。

踊り場までたどり着くと、私は窓に寄りかかって一息ついた。

気づけば額からは、汗が異様に噴き出ていた。

きっと半分は冷や汗。

教室付近に誰も人がいなかったからよかった。

でも、あのやり取りを秋穂あたりに見られていたら、また陰でなにを言われるかわかったものじゃない。

私が望んでしたことならなにを言われても仕方ないけど、妙な詮索をされるなんて、なによりも嫌だった。

私は日誌を抱え直すと、また階段をのぼりはじめた。

階段には、不格好に揺れる長いスカートの影が落ちていた。