キズだらけのぼくらは



だけど、どんな真実が明らかになったとしても、どんな痛みが伴うとしても、私はそのベールを剥がそうと思う。

もう、イヤなことから目を背けるのは、やめたいから。

私はやっと、彼の瞳を見た。

「アキムってさ、ウミカって子のことなんでしょ……?」

彼は静かに目を見開いた。

でも、すぐに小さく笑った。ははっと声をもらし、目を細めて。

「なんで、そう思ったんだ? どこで、そう感じた?」

彼は合っているとも間違っているとも言わない。

けれども彼は、まるで面倒見のいい教師のように、私に対して穏やかに問いかけてくる。

だから私は静かに答えた。

「アキムとウミカって名前にピンと来たの」

そう言い終えた私は、彼との距離が開いたベンチの上を指でなぞり、アルファベットを書きだした。

「アキムは、ローマ字で書くと、AKIMUでしょ。」