私はその質問に、思わず眉をひそめた。
彼はクラス委員長で、野球部でもエース的な存在だとか。
委員長だけにクラスのことはすすんでやるし、中途半端な教師より委員長の方が生徒をまとめるのがうまい。
女子からの人気も高いんだ。
本郷大翔みたいなのもイケメンっていうらしいけど、それと比較するならば、委員長は王道爽やかイケメン。
短めの黒髪はサラサラで、優しげによく笑顔を見せる。
そんな委員長が、ひとりぼっちの私をよく気にかけてくれるものだから、困ってしまう。
他の女子の手前、私のことなんて放っておいてほしいのに。
「大丈夫? ひとりじゃ大変じゃん。僕、なにか手伝うよ」
そう言うと委員長は私の元へ歩いてきて、おだやかそうな顔で私に手を差し伸べた。
だから私は、慌てて日誌を手に取り後ずさる。
「私なら大丈夫です。届けに行けば終わりですから。じゃ、さよなら」