キズだらけのぼくらは



秋穂は高い声で笑い、こう続けた。

「ガリ勉の関谷もこの子になびくなんて、一体なにしたのかしらね? 中学のころから大したもんだわ」

その言葉とともに、秋穂は左右にいる結愛と新太をイヤらしい目でじとっと見やる。

すると結愛は言葉が出せないまま、懇願するように秋穂を見上げ、ぶるぶると首を振った。

でも、秋穂がそんなものを見て動じるわけがない。

秋穂は呑気に結愛の机に寄りかかり、落ち着きのない子供のように足を動かして遊んでいる。

けれど、そんな秋穂に比べ、新太のうしろ姿は微動だにしなかった。

足はしっかりと地を掴み、広い背中がどっかりと存在感を放っている。

そんな後ろ姿を教室の入り口で見ているだけなのに、私は瞬きも忘れるほど真剣に見入っていた。

「だったらなんだ? デキてるとかデキてないとか、お前らは、そんなくだらないことしか考えられないんだな」

新太は声を荒らげることもせず、落ち着き払ってそう言った。

なのに、周りは反論するどころか、しんと黙りこくってしまう。